今回の財務諸表論の試験に際し、一年間理論をまったくやらなかったので、出題されたストックオプションに関してもまったく対応できませんでした。
今日、初めてストックオプションに係る会計基準に目を通しました。
これ、結構面白い論点ですね。
本試験の財務諸表論の問題にも出ましたが、
「ストックオプションの費用処理の是非」
というのは、費用収益をどのように捉えるかという、他の論点と比較しても、会計思考とがっちり結びつく問題に思えます。
どう考えようが、基準で費用処理する事が明確化された以上は、あれこれ考えても無駄なのかもしれませんが、それを問題にするのが試験なのでちょっと考えてみましょう。
まずは、それぞれの立場としての意見をおさらいしてみます。
私なりの言葉にフィルターを通しているので、そのまま受け入れては駄目ですよ!!念のため
1.ストックオプションは費用とすべき意見
ストックオプションは報酬としての対価を構成し、その付与により従業員等からの役務(サービス)を享受し、同時に消費する。という、費用を「財貨・サービスの費消」として考える現在の会計思考とも整合する。
2.そもそもストックオプションの対価性に問題があるという意見
ストックオプションは、取得者から見れば将来のある時点で、ある価額で株式を手に入れる権利であり、その将来の権利行使時点の価額を現在の時点で合理的に見積もる事がナンセンス、かつ、資金の流用がない費用であるから、対価を構成しない。
3.ストックオプションは費用化すべきでないという意見
ストックオプションの取得者が、権利行使をした場合、既存株主の持分に希薄化が生じ、それはすなわち既存株主からストックオプションにより株式を取得した株主への、所有者間での富の移転が行われただけであり、いわば新株の発行と同様に考えることが出来、損益取引とすべきでない。
というのがそれぞれの意見でしょうか。
私個人としては、オフバランス処理をしていた基準制定前の処理にすべきではないかと思ってます。
なぜなら、上記の考え方でもあるように
・ 資金の流出がない費用である。また、費用処理をするにしても、その金額を見積もることは恣意性が介入する余地があるのではないか。
・ コールオプションの価値の算定には、ブラックショールズモデル等の(そこそこ)高度な金融工学を学ぶ必要があり、計算経済性の点からもオフバランス処理すべき。
・ 将来の株価が権利行使価額に達するという保障は無く、その後収益性が向上し株価の上昇の可能性が高くなったとしても、それは確実性を伴わず、それを見積もる事はナンセンス→(なんとなく研究開発費の資産非計上の理由の逆説的思考)
・ 社員の勤労意欲が高まるというインセンティブが生じるからといって、それを役務の消費として考えてしまうことは、他にもいくらでも見積もり計算をして費用とすべき事項がある。ような気がする(具体的に挙げられないということは無いのかも(笑))
という考えです。
それに対し、委員会では
「ストックオプションを付与することにより、その従業員等に、勤労に対しての意欲・勤務時間の向上等(インセンティブ)が期待され、それが会社にとってプラスとしての役務の提供である以上、その役務(サービス)の消費は費用化すべき」
という考え方をゴリ押ししてます。
言ってみれば「屁理屈」vs「屁理屈」の揚げ足の取り合いだとはいつも思います。
まだ表面をかじっただけの浅知恵ですので、素人の意見だと流してもらったほうが良いとは思いますが、こうやって「基準・処理を覚える」だけでなく、「基準が制定された背景・思考」を大切にし、自分なりに考えてみる事も、実は財務諸表論 という試験の対策としては大切なことなのではないかと思います。
まぁ落ちてるやつが偉そうに言うことではありませんがね。
なんでもいいから儲かってる企業のストックオプション欲しいなぁ。
ストックオプション
- 2008年8月27日
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