簿記仲間のヒロさんが再三困っていた分野、デリバティブ。
金融商品に触れる機会がないとなかなかピンと来ませんよね。
そこで、「投資にも使えるvirusデリバティブ講座 (最終話)」。
もう市民権を獲得したと思われる、FX(外国為替証拠金取引のこと)
の例で説明しましょう。
FXは、例えば100,000$(1$を100円と仮定すると10,000,000円(!))
を何と100,000円の証拠金で買い建てることが出来てしまいます。
何と実際投資額(10万円)の約100倍までの外貨を買い建てられるわけです。
このときの100倍を一般に「レバレッジ100倍」と言ったりします。
さて、私の会社(架空)「virus悪徳商事」は、100,000の証拠金で100,000$を買い建てました。このときの仕訳が
(証拠金) 100,000 / (現金預金) 100,000
となります。
つまり、実際に1000万円もの額を手にしているわけではなく、あくまで証拠金(見せ金、FX業者にとっては担保金)として拠出した仕訳なのです。
「え?じゃあ1000万円の金額はどこで仕訳されるの?」と思った方も居るかもしれませんが、仕訳は無いです。
こんな仕訳しちゃったらB/Sのバランスが崩れてしまうので。。
また、実際に外貨を所有するわけではないので。
さて、virus悪徳商事は決算を迎えました。
決算時の為替相場は1$=99.5円です。
ガ━━(゜Д゜;)━━━ン!!!!! 下がってる!!
という事で、デリバティブに生じる債権債務は時価で評価します。
0.5円×100,000$=50,000円の損です。
(FX損益) 50,000 / (FX) 50,000
という仕訳ですね。
翌機種は洗い替え処理として
(FX) 50,000 / (FX損益) 50,000
という処理をします。
さて、買い建てた100,000$を反対売買(売り建て)でポジションを閉じようとします。
何と、ドルが高騰して、1$=105円まで円安ドル高が進んだとして、
まず、FXの損益を確定する仕訳
5円×100,000=500,000
(FX) 500,000 / (FX損益) 500,000
となり、機首に行った振り戻しの仕訳と差し引き合計で、当期は450,000円が儲かった事になります。
わーい。
そして、
(現金預金) 500,000 / (FX) 500,000
(現金預金) 100,000 / (証拠金) 100,000
という、損益確定と、証拠金の返還の仕訳をして、悪徳商事は儲けを得たのでした。。めでたしめでたし。
というか、
「それくらいは分かってるわ!」というツッコミが来そうですね^^;
ちなみに、もしFXを終了するときに、1$=90円だったら、
-10円×100,000$=-1,000,000
という事で、証拠金10万円は没収された上で、更に90万円の追い金を払わなくてはいけない事になります。
「100倍もの取引なんて怖くて出来ない」
って思う方がいると思いますが、案外為替相場はそこまで急激な値動きはありませんし、常に売買がされていて、流動性のリスクの面で、売りたいときに必ず売れるため、株のストップ安程の衝撃はありません。
まぁそれにしても100倍のレバレッジは大きすぎると考える人は10倍程度で始められるのも良いと思います。
ちなみに、FXは、買い建てる外貨預金と、日本の円預金の金利差(スワップ金利)が毎日手に入り、為替相場の変動が無かったと仮定しても、証拠金に対し、1年で年利30%くらいの金利が受け取れる通貨もあります。(NDドルや南アのランド等)
日本のほぼゼロ金利の金利で満足できない方はFXを始めるのも良いかもしれませんね。
デリバティブの説明に当たり、FXの概念を簡単にデフォルメしてあります。
無いと思いますが、くれぐれもこれを読むだけでFXをはじめないで下さい。
※投資は自己責任で。