先物証拠金取引について

 当ブログのコメント欄に質問が来ましたので答えさせていただきます。
「デリバティブ取引(先物・証拠金取引等)の概念がさっぱり理解できない」
という事でした。

 確かに先物取引や証拠金の取引は概念が難しいです。私は、投資の一環として先物取引の勉強もしていたため、難無く理解できたのですが、そうでない方のほうが圧倒的だと思います。

とりあえず、私が使っている「とおるテキスト」では、ヘッジ対象である金融商品(外貨や国債)に対して、ヘッジ取引が設定されていて、必ずヘッジ対象がマイナス・ヘッジ取引がプラスという例ばかりなので、
「少ない証拠金だけの支払いで、大きな利益やヘッジ効果が手に入るのですか?」
という疑問が出て当たり前だと思います。

さて、ここで「ヘッジ」という概念をとりあえず省いてみましょう。
単なる商品先物証拠金取引をバーチャルで行ってみます。
商品先物取引とは、ある決められた時期(限月)にある価格で買う(売る)事が出来る権利を売買する取引です。

例えば コーヒー豆(7月限月)と言ったように、今先物を買い建てても、コーヒー豆が家に届くわけではありません。7月の決済日まで買い建てたままだと、現物が届き、代金を支払う必要があります。
金儲けとして商品先物取引を行う場合は、現物は必要ありませんので、限月の決済日を迎えるまでに反対売買(買い建ててあれば売り決済)して、利鞘を稼ぎます。勿論逆に損をする事もあります。

さて、ここから例を使って取引の流れを見てみましょう。
Aさんは、商品先物(コーヒー豆 時価:1kg=1,000円)を買い建てるとします。
ここで、コーヒー豆の売買単位は1,000kg単位だとします。(ちなみに、売買単位を「枚」という言い方をします。10枚なら10,000kgという事)
単純に1,000円×1,000kg=1,000,000円が必要になります。
しかし、Aさんにはそこまでの資金はありません。さて、こういう場合を考えて見ましょう。

先物取引業者は、「証拠金」といって、例えば1枚当たり50,000円の証拠金があれば1枚取引が出来るというシステムがあります。

今回、コーヒー豆を1枚買い建てたとします。その場合、取引業者に50,000円を証拠金として預ければ、実際には1,000,000円分の商品を売買した事になります。
ちなみに、この時「レバレッジ20倍」と言います。つまり証拠金の20倍までの取引ができると言う事です。(1,000,000円÷50,000円=20)

さて、Aさんは証拠金というありがたい制度で無事コーヒー豆を1枚(1,000kg)、@1,000円で買い建てられました。

その後1ヶ月経って、売る事にしました。

<売却時の時価が@1,100だった場合>

この時点で、反対売買(つまり買い建てた商品を売り決済する)すると、
@1,100×1,000kg(売却価額)-@1,000×1,000kg(取得原価)=100,000が利益となります。

<売却時の時価が@900だった場合>

その場合、
@900×1,000kg(売却価額)-@1,000×1,000kg(取得原価)=▲100,000となり、損失が発生します。
その場合、最初に預け入れた証拠金50,000は当然没収され、さらに50,000を取引業者に支払わなければいけません。

このように、証拠金取引とは、小さいお金で大きな商品を売買できますが、実際取引している分の利益・リスクをもろに受ける事になります。

ちなみに、買い建てた商品の時価が下がると、証拠金が足りなくなり取引業者から「お客さん~。追加の証拠金を入れてくれないと全部勝手に売っちゃいますよ~。」って脅しが入ります。
その追加で預け入れる証拠金の事を「追証(おいしょう)」といって、一度は耳にした事があると思います。ちなみに追証はとっても怖いです。
私も株式投資のデリバティブである「信用取引」で追証の恐怖に震えた日々もありました。

最後話は逸れましたが、以上のように証拠金取引は、小さい元手で、大きな利益も損失も生み出せる金融商品です。
テキストでは証拠金は必ず戻ってくるが如く書いてありますが、そんな事はありません。

とても分かりにくいとは思いますが、こんな説明で答えとさせていただきたいと思います。

※補足として、「日経225指数先物取引」という先物取引があります。
これは、3月物、6月物 といったように3ヶ月ごとの決済日の日経平均を買う という金融商品です。
通常、1000単位で1枚なので、現在の日経平均14500円だと元手が14,500,000円必要です。が、証拠金取引であり、1枚50万円で取引できます。
何とレバレッジ約30倍です。「先物は怖い」といわれる所以ですね。